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わにのえだ

 
 かわのそはに、いっぴきのワニがすんでいました。きょうは、とってもぽかぽかようき。おなかがいっぱいのワニは木のしたでひるねをはじめました。おおきなくちをあけて、みっともないかっこうです。
 
 しばらくねていると、うえからきのえだがおちてきました。そのえだは、おおきなくちへとまっさかさまにはいり、のどにつきささりました。
「グサッ」
あまりのいたさにワニはとびおきました。
「いたいよぉ」
なにがおきたのかさっぱりわからないワニは大パニックです。いそいでかわにいき、くちのなかをうつしてみました。そこにうつっていたのは、のどにえだがささっているじぶんのかおでした。
 ワニは、のどがいたくていたくてしかたありません。あまりのいたさに、なみだがぼろぼろとこぼれました。かわの水を、ガブガブとのんでみたけれどだめでした。
 
 ワニがないていると、むこうのほうからいっぴきのさるがやってきました。ワニはさるにたすけてもらおうとおもいました。でもさるはワニと目があったとたん、にげだしたのです。
「まって、きょうはおそわないから」
「そんなのうそにきまってる」
「のどにささったえだをぬいてほしいんだ」
「そんなことをいってぼくをたべるにきまってるよ」
さるは、ぜんぜんしんじようとしません。そして、そのままどこかにきえてしまいました。だれもこわがって、ワニのたのみなどきいてくれません。
 ワニはなんにちものあいだ、なきつづけました。やがて、そのえだは、よこにのびはじめました。ぐんぐんとのびたえだには、はっぱがはえだしました。やがて、そのえだは、ちいさなあかいみをつけました。
 そのころには、あまりのおもたさに、ワニはうごけなくなっていました。でも、そのみはプーンといいかおりがしたのです。
 
 ある日、なきつかれたワニは、ちかくのいわのかげでやすんでいました。すると、あのときのさるがそのかおりにつられてやってきました。さるはワニがいるなんておもってもいません。
「いいかおりだなぁ」
おなかがすいていたさるは、そのみをひとつとってくちにいれました。
「こんなにあまいみをみたことがないなぁ」
あまりのおいしさに二つ三つとくちにいれていきました。
「そうだ」
さるは、このあかいみをひとりじめしようとかんがえました。でもたくさんのみを一つ一つもってかえるのはめんどうです。えだごともってかえることにしました。さるは、きょろきょろとまわりをみて、だれもみていないことをたしかめ、そのながいえだをひっぱりはじめました。
「うーん、よっこらしょ。なんておもいんだ」
さるは、ちからをこめてひっぱりました。
「スポッ」
大きいおとがして、えだがきゅうにかるくなりました。
「あれっ、まぁいいや」
だれかにみられるといやなので、さるはたいしてきにもせず、いそいでやまへとかえっていきました。
「よかったぁ」
ワニはささったえだがぬけ、ほっとしました。ワニはうれしくてしかたありません。もう木のしたなんかで、ねないつもりでした。ワニも、つらいおもいはしたくありません。
 でも、ざんねんなことが一つありました。それは、さるをにがしてしまったことでした。

おわり