かめさんは、とてもこわがりでした。
こわいことがあると、すぐにこうらのなかにかくれてしまうのでした。だから、かめさんはこうらをてばなすことができなかったのです。そんなかめさんをみて、きつねくんは、いつもばかにしていました。
「やーい、こわがりかめさん、なさけないなぁ」
「うるさい! そんなことないって」
かめさんは、こわがりなわりに、まけずぎらいのところがありました。いいかえしてみても、ほんとうのことだからしかたがありません。
「うそだ!かめさんはこわがりでよわむしだって、もりのみんなもいってるよ」
「よわむしなんかじゃないってば」
そういって、かめは、いつもこうらのなかにかくれるのでした。
「ははは! やっぱりこわがりだ」
きつねくんは、わらいながらもりへとかえっていきました。かめさんがこわがりだってことは、もりのなかではゆうめいなことでした。
あるひのこと、かめさんは、かわのちかくでねていました。すると、
「ゴロゴロゴロ」
そらがくらくなってかみなりがなりだしました。
「わーっ、こわいこわい」
かめさんは、かみなりもきらいでした。かめさんは、すぐにこうらのなかににげこみました。
「ゴロゴロ、ドッカーン」
「こわいよぉ」
かみなりのおとがおおきくなって、はげしいあめがふりはじめました。そとはあらしです。かわのみずは、ふえてながれがはやくなりました。かめさんは、こわくてこうらのなかでふるえていました。
「たすけて! 」
とおくで、だれかのこえがしました。
かめさんは、きになって、かおをすこしだしました。かめさんはおどろきました。なんと、きつねくんがかわにながされているではないですか。きつねくんは、なんとか、かわぎしのくさにつかまりました。
「だれか、たすけて、たすけて! 」
かわのながれがつよくて、きつねくんは、ひとりではあがってこれません。
「ゴロゴロ、ゴロゴロドッカーン」
かみなりのおとに、かめさんは、またこうらにかくれました。
「どうしよう・・・このままじゃ、きつねくんがしんじゃうよ、でもこわいし」
たすけたいけれど、こうらからでるゆうきはありません。
「たす・・・けて」
きつねくんのこえがだんだんちいさくなってきました。かわのながれがさらにつよくなってきました。だいピンチです!
「ええいっ」
かめさんは、ゆうきをふりしぼって、こうらからあたまとてあしをだしました。そして、きつねくんのいるほうへ、はしっていきました。
「まってて、いまいくから」
かめさんは、きつねくんのてをくわえてひっぱりました。くちのちからにはじしんがあります。
「よいしょ、よいしょ」
かめさんはひっしでひっぱりました。そして、きつねくんは、ぶじにきしへとあがることができました。
「かめさん、ありがとう」
「よかったね」
かめさんのひたいは、あせでいっぱいでした。
「かめさん・・・ごめんね。こわがりだなんていって」
きつねくんは、すこしてれていいました。
「もう、いいよ。おこっていないから」
「かめさんは、すごくゆうかんだったって、もりのみんなにいうよ」
「そんなことないって」
かめさんもなんだかてれてしまいました。きつねくんは、おれいをいってもりへとかえっていきました。そのときです、
「ゴロゴロ、ドッカーン」
またかみなりがなりました。
「わーっ、こわい! 」
かめさんは、こうらにかくれました。
やっぱりかめさんは、いつまでたってもこわがりなのでした。
おわり